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8月  コダワリの液晶モニタ〜ナナオ『ColorEdge』シリーズ担当者に聞く
 
家庭用TVはもちろんアップルのiMacにも採用されて、ますます身近になった液晶モニタ。しかし残念ながら、軽量・省スペース・省電力という点だけが取り上げられて『肝心の画質は今ひとつ』というのが世間の評価でした。
ところがこの数年で我々が意識している以上に技術革新が進み、この春(株)ナナオから世界初『キャリブレーション対応液晶モニタ』が発売されました。
今月はこの高品位モニタを発売したナナオを訪れ、営業と企画の担当者の方に製品概要について伺いました。下記は編集部との一問一答です 。
 


Mac業界では高級モニタの代名詞として「ナナオ」の名前は知られていますが、社史を簡単に教えて下さい。
●我々の会社設立は1967年で、その頃はモノクロTVを生産しておりました。70年代に入ると遊戯施設用、つまりゲーム機のモニターなども主要生産品目でした。実はそんなに古い会社ではないのです。

ゲーム機ですか、懐かしいですね。30〜40代の方なら間違いなく、みんな少年時代にナナオのモニターに釘付けになったということですね(笑)。
●その通りです。また遊戯施設用の製品だけでなく、大手家電メーカーのTVもOEM生産しておりました。その後80年頃からコンピュータ時代に突入し、主にヨーロッパ市場向けにPC/AT互換機のCRTモニタの生産を始め、現在の当社の業務内容に近づいてきました。やがてコンピュータはフルカラー表示になり、それまでは緑色の文字が並ぶ、タダの表示装置だったモニターにも「より高性能で美しい表示を」というニーズが生まれたのです。

コンピュータ性能、とりわけグラフィックス性能の向上がビジネスの飛躍につながった訳ですね。さて、写真業界とつながりの深いMacintosh市場については、いつごろから本格的に意識され始めたのですか?
●製品で言うとQuadraシリーズです(1993年)。検証機を購入し、テストに明け暮れた事を覚えています。Macintoshがデザイン市場にあっという間に浸透したので、我々もそれに対して「高精細・高品質」というキーワードで積極的に製品を開発してきました。

Quadraといえば、Kodak DCS200(ニコンF801ベースのデジタル一眼レフ:160万画素)を思い出します。たった10年前の事ですが、大昔のような気がしますね。
●この世界の技術革新は本当に日進月歩です。10年前といえば、当社ではまだ液晶(LCD)モニタ自体存在していませんでした。それが今では、OA用途モニタの出荷台数の半分はLCDですから、大きな変化です。

技術に関連してお聞きしたいのですが、LCDに限らず、CRTの頃からナナオ製品は良い部品だけを選って採用している、というウワサを聞くのですが・・・?
●よく雑誌などに書かれますが(笑)、半分は正しいです。正確に言えば、当社は常に複数のLCDメーカーやCRTメーカーと取引しており、また各メーカーと相互に技術協力関係になります。最高品質のモニタを世に送り出すという第一目標がありますから、その目標に合致すべく各メーカーのもっとも良いグレードの部品を仕入れさせて頂いております。仕入れたLCDやCRTも、ハードウエア的およびソフトウエア的なファインチューニングによって、がらりと見え方が変わってきます。モニタとして完成したとき、LCDやCRTとして単体部品では考えらなかったようなパフォーマンスを引き出す、これが我々ナナオのメーカーとしての技術力です。

もう少し、その「ナナオの技術」を教えて頂けますか?
●当社はLCDやCRTそのものを製造している訳ではありません。しかし、LCDやCRTの表示をコントロールする、いわばモニタにとって心臓部とも言えるICチップ(ASIC)は外注に頼らず、自前で設計生産しています。そして、そのチップ上で走らせるプログラムなど、目に見えないソフトウエアの開発も社内で行っています。その時仕入れられる最高のLCDなりCRTをベースに、自社開発の基板と専用ソフトを組み合わせ、トータルの製品として「EIZO/NANAO」のブランドに恥じないモニタ造りを目指しています。また設計・生産ともに「日本製」にこだわっている事も珍しいのではないのでしょうか。

なるほど、一流ブランドの秘密が少し分かってきました。では今回発売されたColor Edgeシリーズに投入された技術について、より具体的に教えて下さい。
●まずColor Edgeシリーズを語る前に、ここ二年ほどの間にLCDが表現できるカラースペースが大きく拡がったり、視野角が拡がるなどの技術の進歩が見逃せません。これにより、これまでOA用途でしか使えなかったものが、CRTとほぼ互角の色再現性を持てる可能性が生まれました。
実は93年に10.4"のLCDモニタを発売したのですが、時期尚早の感がありまして、あまり売れませんでした(笑)。LCDの高性能化がさらに進んで、もう一度始めようとなったのは1997年のことです。性能が上がったLCDをさらに追い込んで、中間色がきちんと再現できるチューニングを施したのがColor Edgeシリーズなのです。もちろん中間色だけなく、モニタにとって非常に重要なポイントである白色点(色温度)も高精度に調整しています。

色再現性を高く保つということで、特に苦労された事は何ですか?
●生産したモニタをそのまま出荷するのではなく、Color Edgeシリーズでは出荷前にR・G・Bのチャネルをそれぞれ0〜255まで表示チェックし、データ値と一致するように調整しています。これによってガンマ値が正しい、つまりグレースケールを色転び無く正確に表示可能になりました。色温度についても、通常モデルではある特定の色温度だけをチェックしていますが、Color Edgeシリーズでは4000K°〜10,000K°という広範囲を500K°ずつ計測・調整しています。ひとことで言えば、はじめから精度の良いモニタを、さらに手間を掛けて一台一台ファインチューニングを施して完璧なコンディションで出荷している、と言えます。

LCDモニタは一般的に、カタログ記載の視野角が見易さの尺度になっているようですが、Color Edgeはいかがですか?
●Color Edgeは視野角170°を実現していますが、実はこの「視野角」はカタログ数値だけで見易さが分かる訳ではないのです。視野角という定義は、モニタに白と黒を表示してそれを斜めから見て、ある程度のコントラストがついていればそれで「視野角○○○°」と表記できるのですが、これは階調再現や色再現については規定が無いのです。その為、170°を謳っていても、斜めから見たときに肌色再現などまるでアテにならない、という場合もあり得るのです。
当社のColor Edgeでは、170°内のどの位置からでも色・階調ともに正確に確認出来ます。これは、撮影画像を複数の人が覗き込んで確認するコマーシャルスタジオ用途などで大きなメリットになると信じています。お客様には、カタログ数値だけでなく、とにかく実機を見て比較していただきたい、という思いがあります。


Color Edgeシリーズでは、マクベスのi1(本誌2002年6月号参照 )と組み合わせて、モニタキャリブレーションが可能となっているが大きな特徴ですね。
●カラーマネジメントツールとして世界標準になったi1は高精度な測色器を備えていますので、我々はその測色器を利用したColor Edgeシリーズ専用ソフトウエア「Color Navigator」を開発しました。i1は様々なモニタに使用出来るよう、8bitでモニタを調整し、階調が飛ぶ場合はそれをソフトウエア的(OSに書き込む形)に補正しています。我々が開発したソフトでは、そこを更にきめ細かい調整が可能な10bit処理で行い、補正値をソフトに書き出さずに直接モニタのハードウエアに信号を送って補正します。キャリブレーションの結果、プロファイルを作成しますが、実はこのプロファイルは「ソフト的にモニタは何もしない」という信号を送っているのです。ハード(LCD)自体をモトから補正すれば、ソフトによる補正は要らないのです。この結果、当社ソフトを使用したモニタキャリブレーションは、非常に手軽に、しかも約4分という短時間に行えます。

色再現に優れ、キャリブレーション可能ということでまさに写真家向けの仕様となっていますが、スタジオやアトリエで業務使用したときの耐久性はどうなのでしょうか?
●驚かれる方もいらっしゃいますが、我々のColor Edgeシリーズは約3〜5万時間、規定性能を維持できます。1日8時間点けっぱなしにした場合は3,750日、つまり最低10年以上使えます。バックライトも徐々に暗くはなりますが、業務ユースとして文句ないレベルを維持できます。この自信をお客様に分かりやすい形で表そうと、今年度以降生産する17"以上のモニタはすべて5年保証を付けています(輝度劣化は保証に含まず)。
またColor Edgeシリーズに限って言えば、より充実したサポート(※)など、プロフェッショナルユーザのための安心体制も整えています。

プロ写真業界にお薦めできる、という具体的な理由が聞けて大変参考になりました。Appleのデジタル端子にも対応しているので、カメラマンにも非常に届きやすい仕様になっていますから今後モニタを新調しようと考えている方はぜひこのColorEdgeを検討していただきたいですね。本日はありがとうございました。

(※)センドバック修理・5年間対応、出張修理1年間対応、代替機無償貸し出し


ナナオColor Edgeシリーズのお問い合わせ:
銀一フォトショップB1Fデジタルフロア・佐藤まで
TEL:03-3562-4211