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  『FoxFire「フォトレック」シリーズ生みの親に聞く、2005年モデルの見どころ』
   

 銀一では2001年から取り扱っている、(株)ティムコが企画・生産するフィールド派カメラザック製品、FoxFire(フォックスファイヤー)の 「フォトレック」シリーズ。以来4年間、TENBAやDOMKEといった従来のカメラバッグメーカーとひと味違う製品群は広く浸透し、『アウトドアメー カーが作るしっかりしたカメラザック』というイメージが定着しました。
 今月はそのFoxFire「フォトレック」シリーズにスポットを当て、商品企画担当の方にブランド背景やザック選びのコツ、そして2005年モデルの見どころを聞きます。以下は編集部との一問一答です。
【photo:東京墨田の(株)ティムコ本社外観】


左;(株)ティムコ アウトドア用品部 企画開発課 辻徹氏
右;(株)ティムコ アウトドア用品部 宣伝課 斉藤彰氏
【photo:インタビューに答える辻・斉藤の両氏


Q.)まず、ティムコさんの本業であるフィッシング用品から始まった簡単な社史と、カテゴリ別の社内比率などを教えて下さい。


A.)弊社は1969年にフィッシング用品の輸出入及び製造販売目的で創業しました。
1980年代初頭にフィッシング用品の自社ブランドを立ち上げ、その時に開発したフライフィッシング用ベスト4品番が大きな反響を呼び、それが現在の弊社の礎となったと言っても過言ではなりません。
それ以降、フィッシングを中心に据えながらもそれに関連して1990年からトレッキング(軽登山)のための衣料やザックを開発・販売し、1997年に初めてカメラ用途を意識したベストを開発、それが2000年にスタートしたフォトレックシリーズのきっかけとなりました。
現在の商品構成比は、フライフィッシング用品25%・トレッキング用品50%・そしてフォトレックシリーズが25%となっており、自然に親しむ事に特化したアクティビティをバランス良くカバーしています。
【photo:1980年代のFoxFireカタログより。当時から同社製ザックには第一級の評価が与えられていた。】
Q.)カメラザックには既存ブランドが幾つかありますが、なぜアウトドア用品メーカーがカメラ用品に着手したのか、シリーズの由来とその背景について教えて下さい。

A.)私は以前から風景写真が好きで自分で撮りに出掛けているのですが、その際に使っていたのはラムダIII型でした。ある時、会社の仕事を通してネイチャーフォト写真家の小林義明氏と出会い、写真談義に花が咲きました。その時、小林氏が『使い易いカメラ用ザックが見あたらない』と言われていたのがきっかけで、弊社としてのオリジナリティのあるカメラ用品が作れるのではないかと思い付いたのです。
 


Q.)既存のカメラ用品マーケットに新しい商品を仕掛けていく事について、どういった意図と狙いがあるのでしょうか。また、それらの既存ブランドと比較しての『ウチだけのコダワリ』を教えて下さい。


A.)既にマーケットが形成されている商品カテゴリーではあっても、他社に無い商品を作ればきっとお客様に評価して頂けるのではないかとは思っていました。他社のマーケットを奪うのではなく、お客様に新しい選択肢をご提供し、フィールドテストを繰り返して生まれた製品群をぜひお試し頂きたいという意図です。
 さて弊社カメラザックの第一のコダワリは、『ザックを立てたまま機材を出し入れできる』という事にあります。これは私自身が通っているフィールドである三つ峠での経験を反映し、ザックを下ろした状態から素早く簡単にカメラを取り出せるようにと考えた機能です。事実、フォトレック40ではPENTAX645にズームを装着した状態でザックの一番上に収納する事が出来、山歩きからすぐに撮影体制に移る事が出来ます。
第二のコダワリは、上下2気室であるということです。トレッキングされた方ならお分かりになると思いますが、山歩きではザックの重心を上に持ってくると非常にラクなのです。軽い衣料品や食料は下気室へ、カメラは上気室へ、という2気室構造は外で写真を撮らないザックデザイナーではその重要性に気付かないであろうポイントだと思います。


 
Q.)商品開発にあたっては、プロ写真家のアドバイスや専門部署による企画があるとは思いますが、実際にFoxFire製品を使用している一社員の提言が吸い上げられ参考にされるということはありますか? ティムコ社長もカメラがお好きと聞き及んでいますが。
また、先入観かも知れませんが、社員には釣りや写真やハイキングといったアクティビティが趣味という方はかなり多いのでしょうね?


【photo:取材当日に銀一から納品されたEOS Kiss Digitalを開けるティムコのみなさん】

A.)アウトドア用品メーカーですから、基本的に自然の中で遊ぶ事が嫌いな社員はいません(笑)。社内で風景写真にハマッているのは私を含め数人おりますが、他にも釣果を記録するためやスキーの合間に写真を撮る人間もいます。
 そうしたスタッフからのフィードバックにより、例えば下記のような改良点が生まれています。
1.三脚ホルダーの裏側をラバー張りにして保持性を向上(2002年)
2.ベルトのバックルを丸みのある形状に変更(2002年)
3.ザック背面の芯を、背骨に合わせたS字カーブ型に改良(2002年)
弊社社長もカメラが好きなのですが、M型ライカなどでスナップするのが好きなようで、街歩きにも便利なフォトレックRFを好んでいるようです。
  Q.)フォトレックは『実際に風景写真を撮る人が作っている』ということが広く知られていますが、辻さんの創作の泉となっているエネルギーは何でしょうか? また好きな写真家、そして辻さんの撮影フィールドや自前の機材についてもお話し下さい。

A.)大上段な表現で恥ずかしいのですが、私は風景写真を通して幸せになりたい、そしてフォトレックユーザーさんにも幸せになって頂きたい、という想いがあります。
良い写真を撮って幸せな気分になる、山で良い空気を吸って幸せな気分になる、山歩き後に親しい友人達と温泉に浸かって幸せになる、どんな些細な事でもハッピーになれる要素があります。私は機能的なカメラ用品を通して、そのハッピーを提供したいのです。
機材については、PENTAX645Nを使って富士山を撮っています。ですから、大好きな写真家と聞かれればやはり風景写真家になります。大山行男氏と曽我定昭氏は私にとって神様といっても良いでしょうね(笑)。
645用交換レンズは33-55mm、45-85mm、80-160mm、150-300mm、単焦点はマクロ120mm、300mm、400mm、その他にテレコンを使います。低感度フィルムで絞り込んで撮影するために、三脚は必須ですね。このカメラ(PENTAX645N)では手持ち撮影はしませんので、ボディや長玉にはベルボンのクイックシューを常時装着しています。
【photo:愛機PENTAX 645NIIを構える辻氏。ストラップはPENTAXへのリスペクトを込めて、敢えて純正品を装着しているとか】
 
Q.)フォトレック40などは既に「完成品」という感じがしますが、まだ今後の改良の余地はありそうですか? また、今後に計画している新アイテム等はありますか?


【photo:毎年細かなマイナーチェンジが施されるフォトレック40 右から二番目】
A.)時期は未定ですが、フォトレック30と40はリニューアルしたいですね。ユーザーさんからの希望や販売店さんの声を聞き、さらに煮込んでいきま
す。また、従来の「フォト+トレッキング=フォトレック」というブランドコンセプトから逸脱した、いわゆる山岳系に特化したバージョンのフォトレック40を作ってみたいです(編集部注:この開発意図は一部、本稿中の「フォトレック・サジテリアス」に反映されている)。
また、女性用のフォトレック関連の衣料やザックにも着手したいと考えています。しかし女性用いえども、使うカメラは男性と同じだったりする事が多く、ザック容積を変えずにいかに背負い易く身体にフィットするシルエットを作るか、という点で試行錯誤が待っています(笑)。
  Q.)上の質問と関連して、今後は衣類ではすでに導入されている紫外線防止、花粉対策など、今あるモノにさらに新機能や付加価値を加える時期に入ると思いますが、ザック類については新素材を使ったり止水ファスナーなど、お考えはありますか?

A.)弊社の企画方法として、トップダウンの商品構成というのがあります。これはまず、弊社で考え得る全ての機能を搭載したフラッグシップモデルを発売し、その後にミドルレンジや廉価版の開発を進めるというものです。この方法で、今後はデジタル一眼レフの市場動向と風景写真マーケットの連動がどの程度進行するかを見極めつつ、デジタル対応の機能を搭載したザックも取り揃えていく必要があると考えています。
この試みはまず第一弾、今春発売のフォトレックPCとして結実しましたので、これを来月のPIE2005(フォトイメージングエキスポ)でユーザーさんにアピールします。
さらに、このフォトレックPCではフォトレックシリーズとして初めて、ネオプレーン素材によるコーナー処理が施されています。曲線を描くファスナー部分は、いつも表面生地の処理に頭を悩ませるのですが、今回は伸縮性のある生地を挟み込んで解決しています。
【photo: ネオプレーンによって伸縮性を与えられたコーナー部分】
 
Q.)フォトレックは今年で5周年、これまで沢山の製品に関わって来たなかで印象に残るアイテムを一つ教えて下さい。

A.)苦労話は、このホームページを埋め尽くすほど色々ありますよ(笑)。
苦労して作って、しかも売れて嬉しかったという意味で印象に残っているのは、初代フォトレック40です。レンズにフードを逆付けして収納できる内寸とは、実用に即したレンズラインナップは何か、F2.8級大口径ズームを対象とするのか普及クラスを対象とするのか、キヤノンとニコンのボディサイズの違いとは・・・カタログや実機をリサーチして『使えるザック』にするための生みの苦しみが長く続きました。
 

Q.)さて、期待される2005年モデルは来月のPIE2005=フォトイメージングエキスポ(http://www.pie2005.jp/)のティムコ銀一ブースで初お目見えするのですが、その前に各新モデルの特徴を一つずつ教えて頂けますか?


A.)「フォトレック・サジテリアス」
これは従来のトレッキング用途カメラザックを一歩進化させて、より本格的な山行に耐えるアルパイン系のザックとして開発しました。従来の最大容量モデルであるフォトレック40との大きな違いは、「ザックが自立しない」という点です。一見フォトレックシリーズの美点を放棄したとも思われる仕様ですが、このザック底面や背面幅を切りつめて身体にフィットし上部が前傾したデザインにより、長時間の登山での快適性を実現しています。このザックは、各種遠征などに同行する記録カメラマンを想定したモデルなのです。

A.)「フォトレックPC」
大判・中判カメラによるリバーサルフィルム撮影が絶対だった旧来の風景写真の世界に、より機動性に富んだ35mm一眼レフの有効性を紹介したのは竹内敏信氏です。その結果、フィールドでEOS-1やF100などを見掛ける事が非常に増えたのですが、それがEOS10Dの登場後からデジタル一眼レフをチラホラ見掛けるようになりました。
現在デジタル一眼レフを使われている方は、山岳系よりも紅葉狩りのバス旅行などといったライトな楽しみ方のユーザーが多いのですが、カメラ自体の高性能化が著しく、また普及クラスのプリンタでも満足行くプリントが得られるようになった為に、今後はフォトレック層のユーザーにもデジタル一眼は広く普及すると予想しています。
このフォトレックPCでは、パソコンケース部分をザック外側に配して、脱着や持ち出しをし易くしています。ロッジまではパソコンを持ってきても、翌日の散策ではパソコンを持ち歩く必要はない、でも夕方ロッジに戻ってから画像を確認したりメールを送る、というワークフローを計算して作った結果です。
デジタルカメラが風景写真にどんな形に食い込んでくるのか、今は非常に大きな関心を持って見守っています。
Q.)本日はありがとうございました。PIE2005=フォトイメージングエキスポでの商品紹介が待ち遠しいですね。ティムコブースでまたお会いできる事を楽しみにしています。

(構成・編集部)

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